浄化槽には大きく分けて、2種類のタイプがあります。トイレの汚水だけを処理する単独処理浄化槽とトイレも含めた生活排水を合わせて処理する合併処理浄化槽です。
そのうち単独処理浄化槽は、浄化槽法の改正により平成13年4月より原則、設置が禁止となりました。現在では、既に設置された単独処理浄化槽は「みなし浄化槽」とされ、合併処理浄化槽への転換に努めるものとされました。つまり今では浄化槽といえば、合併処理浄化槽を意味するようになったのです。
浄化槽は、正しい使い方と適正な維持管理を行えば、本来の性能を発揮することができます。そのためには、次の事に気をつけてください。
【1】台所では
・天ぷら油の使用後は、流しに流さないで、固めて可燃ゴミとして処分する
・鍋やフライパン、皿に残った油脂やひどい汚れは、キッチンペーパーなどで拭いてから洗う
・三角コーナーや排水口に細かいネットをかぶせて、野菜くずや食べ残しを直接流しに流さない
【2】洗濯では
・無リンの洗剤をなるべく使用する
・洗剤や漂白剤は必ず適量を使い、過剰に使い過ぎない
【3】トイレでは
・トイレットペーパーを使うこと。ティッシュペーパーや便座の除菌ペーパーはトイレには流さない
・紙オムツ、衛生用品、たばこの吸殻を流さない
・掃除には塩酸等の薬品を使わずに、普通のトイレ用洗剤(中性タイプを推奨)を使用する
【4】お風呂では
・掃除の際に、カビ取り剤は控えめに使用し、使用後は水で十分に洗い流す
・入浴剤のうち、硫黄化合物が含まれているものは、使用を控える
浄化槽は、設置してしまえば、何もしなくてもいつでもきれいな水が流れてくるわけではありません。槽内に繁殖する微生物が汚水を処理する働きをするため、その生き物である微生物が活発に活動できる状況を常に保つことが必要になります。
浄化槽の維持管理は、定期的な保守点検、バキューム車による清掃、法定検査の3点ですがこれらの作業を確実に行うことにより、初めて浄化槽はその機能を発揮できるのです。
洗剤を多量に使用されますと泡が発生しやすく、また浄化槽の使用開始当初は微生物の繁殖が少なく、洗剤を分解する働きが不十分なため泡が発生する場合もありますが、微生物の増殖により徐々に減っていきます。洗剤の使う量は適正量にしてください。
中性タイプの洗剤をお勧めします。酸性の強いタイプはなるべく使用しないでください。
どうしても漂白剤等を使う場合は量を控えめにしていただき、洗浄の際に水を多めに流すことで希釈され影響が少なくてすみます。
臭気の原因として、「送風機(ブロワ)の故障」、「浄化槽の清掃不足」、「マンホール蓋の密閉が不十分」等があります。また、浄化槽に異常がない場合でも、洗濯や風呂の排水時に臭う時もあります。原因も様々なため、専門知識がなければ対処できないケースもありますので、当組合または、担当業者へご連絡ください。
浄化槽からの音の原因は、送風機(ブロワ)によることが多いですが、振動音や設置台の接触音などや浄化槽本体からの場合もあります。異常音に気づいた際は、早目に、当組合または、担当業者に連絡しご相談ください。
蚊やハエなどは、側溝や排水口などの外部から侵入し浄化槽の内壁やパイプの隙間に卵を産み付け、生育条件が整うと孵化して発生します。これらの生物を完全に駆除することは困難ですが、対策として殺虫剤プレートを吊り下げておくと、一定の効果があります。
ワイシャツやシーツなどに使う漂白剤は、適量を使用する分には影響は少ないですが、多量に使いますと浄化槽内の微生物の働きが低下してしまいます。また、なるべく塩素系の漂白剤は避けていただいた方がいいと思います。
市販のカビ取り剤のほとんどが、次亜塩素酸ナトリウムを主成分にしているので、殺菌作用が強く、多量に使用しますと浄化槽内の微生物を死滅させてしまいます。そのため、使用する際は適正量にし、可能であれば使用後は、キッチンペーパーなどでの拭き取りや、多めの水で洗い流すことをおすすめ致します。
トイレの芳香剤は、ほとんど浄化槽に影響はありませんが、槽内水に色が着いてしまいます。
また、浄化槽の臭気と芳香剤の臭気が混じり合い、臭気が発生する場合もあります。
市販されている入浴剤は、過剰に使用しなければ浄化槽に影響はありませんが、トイレの芳香剤と同様に槽内水に色が着いてしまいます。なお、硫黄化合物が含まれている入浴剤のご使用はお控えください。
洗濯槽クリーナーは、かなり殺菌力が強いため、なるべく塩素系のものより、酸素系のものをお勧め致します。また、同じ日にその他の配管洗浄剤等を使うことはせずに、週をずらしての洗浄作業が望まれます。
便器が詰まった時は、ご連絡ください。対応致します。ただし、通常流さない異物を誤って流してしまった場合は、対処ができないこともあります。(財布や携帯電話、紙オムツ等)
当組合と契約して頂いているお客様については、年中無休・365日、元旦から大晦日まで、浄化槽にトラブルが発生したら対応致します。
浄化槽のマンホールや配管の点検蓋の上には、なるべく物を置かないでください。点検や清掃作業ができなくなるおそれがあります。ただし、簡単に移動できるような少量の軽量物であれば、とくに支障はないと思います。
下水道に接続されている場合は、通常、浄化槽は設置されておりませんので、いわき市の下水道担当課へご連絡をお願い致します。
浄化槽には、処理対象の人員数があり(人槽)、その人員数を超えると機能が著しく低下します。例えば、5人槽の浄化槽で6人以上の使用があれば処理能力を超えており、本来の性能が発揮できません。浄化槽を入替えることが理想ですが、現実的には難しいため、清掃回数の増加や送風機(ブロワ)の出力アップ等の色々な対策が必要となります。
送風機(ブロワ)の電源は絶対に切らないでください。浄化槽内の好気性微生物に送る空気を止めてしまうと微生物の働きを弱めたり死滅させたりして、機能低下の要因となります。
全く使用しないのであれば別ですが、少しでも使用する限り維持管理は必要になります。
ただし、1年以上も家を留守にする場合には、電源を切り、清掃をして水を張るようにします。
この場合は、組合または担当業者に、ご相談ください。
保守点検の回数は、浄化槽の種類や処理方式、槽の大きさ等により異なります。一般家庭用小型合併浄化槽は、年に4回の回数としております。これは、放流水質の安定化・送風機や水中ポンプ設備の不具合の早期対応・消毒剤の残量不足防止等、浄化槽の維持管理上必要な回数と判断しております。そのため点検回数を減らすことはしていません。
浄化槽の清掃は、年1回以上、浄化槽の型式によってはおおむね6ヶ月に1回以上行わなければなりません。この作業は、バキューム車によって行われますが、汚泥等の引抜きや内部単位装置の洗浄をすることにより、清掃をしなければ発見できない内部の異常の確認もしていることから、使用人数に関わりなく実施することが義務づけられています。
浄化槽の管理料金は、その対象となる浄化槽の処理方式や型式・容量等により、細かく分かれているため、料金の詳細につきましては、実際にお客様の浄化槽を確認させていただいてから、ご案内致します。
浄化槽の維持管理料金は、使用人数ではなく浄化槽の処理対象人槽に応じて、決めています。
そのため大変申し訳ありませんが、家族の人数が減った場合でも、料金は変わりません。
浄化槽の本体については、かなりの耐久性があり、家屋と同じぐらいの寿命と考えますが、それでも震災などで破損することもあります。また、送風機(ブロワ)や水中ポンプなどは、消耗品ですので必ず故障します。これらの修理や交換費用が、今後発生する可能性があります。ただ、これらの費用は、その破損や故障の状況により異なりますので、その金額は一概に言えません。
新たに設置されたり、入替えて設置された浄化槽については、その使用開始後3ヶ月を経過した日から5ヶ月の間に、福島県知事が指定した検査機関(指定検査機関)の行う水質検査を受けなければなりません。
これは、浄化槽の工事や保守点検が適正に行われているかどうか、浄化槽の機能が正常に働いているかなどを判断するための検査で、定期的な保守点検とは異なるものです。
いわき市は広域であるため、市内をきめ細かく対応できるように担当地区を決めています。浄化槽のトラブルなどの緊急時に、いち早くお伺いできる体制をとっております。
担当組合員は、当ホームページにてご参照いただくか、組合までお問い合わせ下さい。